53 草津 (Kusatsu)
前の宿へ
一覧へ
次の宿へ

うばが茶

名物うばガ餅を売る大きな茶店。店の正面には、焚き口の二つある特殊な銅製の釜が見える。この釜は壁が二重構造になっていて、中で水を熱くして酒の燗もできる。客へ運ばれた餅は親指の先大の丸さ。搗きあがった餅を手でただ丸めただけで、砂糖やあんこは一切入っていない。当時、砂糖といったら貴重品。餅に砂糖をまぶすようになるのは明治期に入ってからだ。餅の持つかすかな甘味をうまそうに食す旅人の姿が、嘘のよう。


表紙に戻る