50 土山 (Tuchiyama)
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鈴鹿山雨

標高7〜900mの峰の次ぐ鈴鹿の山脈を越えて、土山宿へ下りだす旅人。取り出して広げた油びきの雨ガッパを着て、肩が角で突っ張る。足もとは草の道。本降りの雨に背後の峰が空で烟って消えかかる。突兀と首を伸した峰々が、並び重なるさまは図の通りで鈴鹿峠付近の特徴だ。しかし今は交通量の激しいドライブイン街が灯を点す。かつて峠を分水嶺にして、街道の脇に湧き出ていた清水を掬いながら下る旅人の姿は戻らない。


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