旅人驟雨
激しい夕立が通りすぎる街道。雨足に追われて旅人が右往左往する。小屋掛けの粗末な茶屋を見つけ、ちょっくら御免よと何人かが駆け込み、手拭いで肌をぬぐっている。茶屋ではお婆が黙々とカマドの湯を沸かすのみ。低い松ばかりが斜面に生えた、山間のわびしい土地の印象で、雨宿りで居合わす男達が、短い世間話から空を見上げる。雲間が切れ、ホトトギスが一声で飛び過ぎ、旅人達が去り、再びお婆だけの静かな茶屋となる。