11 箱根 (Hakone)
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未明ノ山越

芭蕉は1694年に51歳で旅先に没する。江戸からその旅へ発ったのは四月。数日前に寝込んだ彼は、箱根路を雨に降られながら登った。従者の若者へ山中の史蹟を指し示してやりながら。若者は初旅だった。路がきつくて、途中から二人分の荷物を山人足に担いでもらい、その後ろから主従は登った。若者のために、三島への下りは駕籠を雇った。その若者の頑張りをば江戸への手紙で誉めている。芭蕉若き日の子であったらしい。


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