10 小田原 (Odawara)
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地引網

浜街道の老松の向こうをまぶしい海が水平に切る。波打ち際の紺青、沖合の白、上空の淡いクリーム色、そして天辺には紫色の暈かし、という現実には有り得ない組合わせ。でもちっとも違和感がない。浮世絵版画の裏に、板元・絵師・彫師・摺師がいるが、配色は絵師が決める。下絵を転写して線彫りした最初の板から試し摺りした絵を墨版という。絵師がその墨版を見て、使用色とその範囲を指定する。色の数だけ色版が生まれる。


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