21 鞠子 (Mariko)
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名物とろろ飯

広重の目が茶店やその付近にいた人々の様子をズームアップしている。これは彼が視覚化した短編小説の感じで、性格描写に自信がありそうだ。キセルを口に物思う馬方、縁台で悩みを打ち明ける駕籠かきの坐り方、低姿勢で旅人にお駕籠を勧める様子、尻尾を縛ってある荷馬の哀れさなど、人生経験が無いとこうは具体的に絵に出来ない。そして、茶店の内壁に貼ってある仙女香とは、江戸京橋の化粧屋の広告。婦人用の白粉である。


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